社内SEはやめとけ?言われる5つの理由と、製品を提供する側から見た実態

公開 2026年9月28日/ 執筆 AIKARA LAB

この記事の書き方

私は、EC向けのシステムを自社製品として企業に提供している会社で、自社開発エンジニアとして5年目になります。 社内SEとして働いた経験はありません。

ただ、仕事の中で、製品を導入しているお客様企業の社内SE・情シス(社内のIT担当)の方とやり取りをしてきました。 そこで、この記事では次のように書き分けています。

  • 「やめとけ」と言われる理由・社内SEの仕事:転職サービス各社が公開している情報を調べてわかったこと(出典は記事の最後に記載)
  • お客様企業の社内SEを見て感じたこと:私の経験

結論:「やめとけ」が当てはまるかは、会社しだい

調べた範囲では、社内SEが「やめとけ」と言われる理由は、主に次の5つです。

言われる理由(調査) 実際に確かめたいこと
仕事の範囲が広い IT部門の人数。少人数だと何でも担当になりやすい
調整する力が必要 社内の部署と外部のベンダーの間に立つ仕事が好きか
社内システム全体を知る必要がある 会社の業務(販売・会計など)に興味を持てるか
スキルが身につきにくい 求人の「開発の比率」。自分で開発する機会があるか
希望する業務ができない 入社後の担当業務。ヘルプデスク中心になっていないか

社内SEという職種そのものが悪いのではなく、会社によって中身が大きく違う、というのが調べたうえでの私の結論です。 一方で、「社内SEは楽」というイメージも、お客様企業の担当者を見てきた私の実感としては言いすぎだと思います。

社内SEが「やめとけ」と言われる5つの理由(調査)

1. 仕事の範囲が広い

社内SEは、システムの開発や運用だけでなく、ヘルプデスク(社員からの問い合わせ対応)や社内インフラの整備など、ITサポート全般を担当することがあります。

2. 調整する力が必要

社内の部署とシステムの仕様や納期を確認したり、外部のベンダー(開発会社)と打ち合わせをしたりと、さまざまな人を取りまとめる力が求められます。

3. 社内システム全体を知る必要がある

生産・販売管理・会計など、会社の活動の土台になる業務の知識も求められます。 また、システムは社内のルールや法律に沿って設計・運用する必要があり、ルールが変わるたびに知識をアップデートしなければいけない、ともされています。

4. スキルが身につきにくい

開発や設計に関わる機会が少ない職場では、技術的なスキルが身につきにくい、とされています。 私が「やめとけ」と言われる理由の中で一番納得できるのは、ここです。 会社によっては開発がほとんどなく、技術が伸びにくいことがあると思います。

5. 希望する業務ができない

設計や開発がしたいと思って入社したのに、実際はヘルプデスクばかりだった、ということも少なくないとされています。

そのほか:障害のときの責任が重い

会社の事業に直結するシステムで障害が起きると、全社の業務に大きく影響します。 安定して動かし続ける責任は大きく、プレッシャーに感じることがある、とも書かれていました。

製品を提供する側から見た、お客様企業の社内SE(私の経験)

ここからは、私がお客様企業の担当者とやり取りをしてきて感じたことです。あくまで、私が関わった範囲の話です。

窓口になる人はさまざま

お客様側の窓口は、情シス・社内SEの担当者であることが多かったです。 ただ、社長など経営層の方が直接出てくることもあれば、ITに詳しくない事業部(EC担当など)の方が窓口のこともありました。

また、1〜2人で社内のIT全般を担当している会社もありました。調査で出てきた「仕事の範囲が広い」は、こうした会社では特に当てはまりそうです。

板挟みと、説明役の大変さ

お客様の担当者は、社内からの要望と、ベンダーである私たちの間で板挟みになっていて、大変そうに見えました。 不具合が起きたときには、原因や対応を社内に説明する役も担っていて、そこも大変そうでした。

製品の不具合を直すのは私たちですが、社内に向けて説明し、各部署に納得してもらうのは社内SEの仕事です。 自分で直せない問題の説明を任されるのは、精神的にきつい場面もあると思います。

技術への理解は、人によって大きく違う

システムへの理解は、担当者によって本当にさまざまでした。 こちらが驚くほど理解が早く詳しい方もいれば、システムのことはまったくわからない方もいました。

仕事ができる担当者の共通点

仕事ができると感じた担当者は、社内の要望を整理し、優先順位をつけて伝えてくれました。 社内のいろいろな声をそのまま流すのではなく、「何が一番大事か」をまとめてくれる担当者だと、私たちも動きやすかったです。

うらやましいと感じたところ

一方で、事業に近いところでシステムのことを考えられるのは、うらやましい・面白そうだと感じていました。 製品をつくる側の私たちは、お客様の業務を想像しながら開発しますが、社内SEは実際にシステムを使う人のすぐそばにいます。

社内SEの良いところ

調べた範囲では、社内SEの良いところとして次のようなものが挙げられていました。

  • システムの企画や要件定義など、上流工程に携われる
  • 自分が関わったシステムが会社の役に立ち、やりがいを感じやすい
  • 納期を調整しやすく、残業は少ない傾向にある
  • 社外の顧客からプレッシャーを受けることがない

私自身も、社内SEの良さは**「会社の業務全体が見える」「使う人の顔が近い」**ことだと思います。

ただし、「残業が少ない」「プレッシャーがない」は、あくまで傾向です。 お客様企業の担当者を見てきた私としては、社内SEは決して楽な仕事ではないと感じています。社外の顧客はいなくても、社内の人やベンダーとの調整で苦労する場面は多そうでした。

「やめとけ」が当てはまりやすい人・当てはまりにくい人

調査でわかった向き不向きと、お客様企業の担当者を見て感じたことをまとめました。

当てはまりやすい人(やめたほうがいいかも) 当てはまりにくい人(向いているかも)
最新の技術を突き詰めたい人 会社の業務や事業に興味がある人
自分の手でコードを書き続けたい人 社内の人の要望を整理して、優先順位をつけられる人
人の間に立って調整するのが苦手な人 いろいろな立場の人と話すのが苦にならない人
計画を立てて動くのが苦手な人 複数の仕事を同時に進められる人

開発をしたい気持ちが強い人は、自社開発のほうが合うかもしれません。自社開発のきつさと楽しさは、自社開発エンジニアはやめとけ?で書いています。 社内SEと自社開発の違いは、社内SEと自社開発の違いで詳しく比べています。

後悔しないために、求人で確認したいこと

社内SEへの転職を考えている人には、次の2つは必ず確認してほしいです。

  1. 開発の比率:自分でコードを書く仕事がどのくらいあるか。ベンダーの管理やヘルプデスクが中心になっていないか
  2. IT部門の人数:1〜2人の会社だと、社内のITすべてを担当することになりやすい

加えて、調査で出てきた理由から考えると、次の点も面接などで聞いておくと安心です。

  • 障害が起きたときの対応体制(夜間や休日の呼び出しがあるか)
  • 外部のベンダーとの役割分担(どこまで自社で開発するか)

なお、社内SEの求人は、職種未経験を歓迎するものが少ない傾向があります(dodaの職種図鑑では、職種未経験歓迎の求人は5.6%)。

私が社内SEではなく自社開発を続けている理由

私は就活のとき、社内SEも選択肢として考えていました。 今、自社開発を続けているのは、給料に満足していること、親しい同僚がいること、そして仕事に慣れて楽しいと思えるところまで来たことが理由です。

「社内SEがだめだから」ではなく、今の環境が自分に合っているから、というのが正直なところです。

まとめ:社内SEが「やめとけ」かは、会社と自分の希望しだい

  • 社内SEが「やめとけ」と言われる主な理由は、仕事の範囲の広さ、調整の多さ、業務知識の必要さ、スキルの身につきにくさ、希望する業務ができないこと
  • ただし、どれも会社によって大きく違う。求人の「開発の比率」と「IT部門の人数」を必ず確認する
  • お客様企業の社内SEを見てきた私の実感では、社内SEは楽な仕事ではない。一方で、事業に近いところでシステムを考えられる面白さもある

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